痴漢の話
以下の記事のはてブのコメントで、痴漢被害者に対して驚きのコメントや痴漢という犯罪そのものに対する誤解が数多く見られたので、このエントリを書こうと思い立ちました。
この記事に限らず、たいていの痴漢に関する記事で、「何でこんなこといえるんだろう」というコメントを多く見ます。また、男女限らず、性犯罪の話になると誤解が非常に多いと感じます。場合によっては、セカンドレイプを行ったことを公言しているケースもあります*1
最初にお伝えしたいのは、痴漢の話をするとき、私は痴漢に怒っているのであって、"男性"に怒っているわけではない、ということです。私は、痴漢に怒っているのであって、あなたを責めたいわけではありません。
正直、性犯罪が身近ではない人が、性犯罪に関して詳しくなることは非常に難しいと思います。ですから、性犯罪に対して無知であることはある程度仕方がないのでしょう。
なお、女性でも強姦神話を信じている人はたくさんいます。また、男性も性犯罪の被害者になりえます。女性だけの問題ではないです。
しかし、多くの人々(特に女性)にとってはある意味では非常に身近な犯罪です。あなたの身近な親しい女性(男性)も被害者になる可能性はいくらでもあるのです。そして、そのときにあなたが発した何気ない悪意のない一言が、あなたの大事な相手を傷つけてしまうかもしれません。
私はただ、誰かが誰かを傷つけることを避けたいと思うのみです。
強姦神話というものがあります。
以下のホームページにほとんどすべて載っているのですが、加害者はどこか遠くからやってくる人ではなく、実際は、性犯罪者はあなたのお隣にいる人かもしれません。
性犯罪に関する迷信の例
被害者が加害者を挑発した結果,性犯罪が起きる
美しく若い女性が性犯罪の被害にあう
夜,一人歩きしなければ性犯罪にはあわない
性犯罪は見知らぬ男性から受ける
いやだったら,被害者は最後まで抵抗するはずだ
性犯罪は大都市でしか起こらない
性的欲求を爆発させた男性が衝動的に性犯罪を行う
性生活に不満を持っている異常な男だけが性犯罪の加害者となる
- 神話「変な人や不審者に注意すればいい」→事実は「加害者はふつうの人」
問題点:たとえば路上生活者に極端な嫌悪感、警戒心をいだかせるだけで、予防につながらない。- 神話「暗い夜道や一人歩きに注意すればいい」→事実は「加害現場は屋内が多い」
問題点:女性の行動を制限する。弱者だと実感させるだけで、予防につながりにくい- 神話「若い、きれい、服装が派手など、特定のタイプだけが被害にあう」→事実は「より弱そうな人がねらわれる」
問題点:「短いスカートをはいていた」「普段から派手」など被害者の落ち度とされる- 神話「被害者が抵抗すれば、被害はさけられる」→事実は「抵抗すらできないほどおそろしい」
問題点:抵抗しなかった被害者の落度とみなされる- 神話「性被害をうけたら誰かに話すはず」→事実「警察の通報率は10数%以下」
問題点:「かえって非難される」「信じてもらえない」などが言わない理由としてあげられている- 神話「女性は強姦されたがっている」→事実「空想することはあっても、現実に望んではいない。コントロールの主体が異なる」
http://anond.hatelabo.jp/20090417170833
また、性犯罪の加害者553名について、被害者逮択の理由や強姦神話に対する考え方を分析した。その緒果、加害者が被害者を選択する理由は、主として、「おとなしそうに見え」たり、「警察に届け出ることはない」と考えたりした結果であり、「挑発的な服装」や「スキが見える」などの被書者側の責任は、ほとんど理由とはなっていない。
こちらのアブストラクトからも、強姦神話が正しくないことは明らかだ。
私が出会った性犯罪者や不審者。
私が被害にあっていても、周りの人はたいてい気がついていませんでした。本当にそんなに痴漢や性犯罪ってたくさんあるの?といわれると、たくさんあります。
前置きとして、ほぼすべて小学生の頃の話で、私はほぼTシャツとズボンで過ごしていた。当時は150センチぐらいで、服装も見た目も小学生か、中学生にしか見えない程度だった。
1、小学生のとき、本屋でズボンの上からお尻のあたりをつつかれた。
Tシャツとズボンの格好。
2、本屋にいたら、こけたフリをした人に顔面衝突された。
服装はコートとズボン。
3、昔のエントリでも書いたと思うけど、本屋で、「写真取らせてください」といってきた。これも確かTシャツとズボン。
4、図書館帰りの夜7時過ぎに、自転車で帰宅中に大人に「これからカラオケに行かない?」といわれた。相手も自転車で、私の前を走っていた。なぜかスピードを落として、私の横に並んできたので変だと思ったら、そんなことを言ってきた。これも確かTシャツとズボン。
7、駅構内で、「お小遣いあげるよ」と60代ぐらいのおじいさんに言われた。その場から逃げたが、同じ駅構内を移動中にまたその人を見かけた。
1は、触られた瞬間に後ろを振り向いたら、リュックサックのおじさんだった。驚きのあまり何もいえなかったが、相手の顔を見ていたら、「ごめんなさい」といって逃げた。
周りの人は誰も気がついていなかった。
2は、「ごめんなさい」といって逃げていった。私が「気持ち悪い」、とつぶやいたら、一瞬ぎくりと止まったが、そのまま店外に逃げていった。周りの人も異変には気がついていたが、誰も声をかけてこなかった。
トイレで泣きながら顔を洗った。
3.普通にお断りした。怖くはなかったが変な人だとは思った。
4、夜だし怖かった。家の近所だったので急いで大通りを通って帰った。 周りに人や車はいたが、たぶん気がついてはいなかったと思う
7は、大きな駅だったので人はたくさんいたが、誰も気がついてはいなかった。
6と8以外はすべて小学生のとき。
言うのが恥ずかしいので人には言えなかった。親にも先生にも。 8は学校内のことなので、教師に相談したが、言ったことを後悔した。
本屋には絶対に行かず、すべて図書館で借りた。いまはamazon万歳。
高校、大学は電車通学だったが、必ず座れる路線を選んでいたので痴漢被害にはあわなかった。
強姦神話にまつわる誤解から生まれた議論。
痴漢ではないけれど、その後の話。
*1:組織内で事件があった際に、組織の女性メンバーに被害者はあなたか、と聞きまわったなど。