本人の性質とちぐはぐな恋人や結婚相手を探す人たちがいるという話

 最近、「(今まで彼女いたことないけど)かわいい人や美人と結婚したい」の話が続き、あんまり良くないんじゃないかな、と思った。

 
私はそういう話を聞くにつけ、昔の知人を思い出してしまう。あるとき「彼女がほしいけど出会いがない」と彼が言ったので、「部活入ってたよね。女性いなかったっけ?」と聞くと、「あいつらは女じゃない」と言われたのだ。
 
彼女らを忌避したくなるようなひどい出来事でもあったのかと思って聞いてみたところ、「ろくに化粧もしないし飲み会でも男みたいに酒をどんどん飲むからいやだ」と言われた。要は見た目やふるまいが女らしくないという話だったのだが、写真を見せてもらったところ服装がカジュアルなだけでかわいい女性たちだった。しかも話を聞く限り彼女らはさっぱりとしていて性格のいい人々だった*1。 確かにキラキラ女子はいなかったものの、友人としては気が合うタイプの人々だったそうだ。
 
部活のときに彼女ら化粧をしていなかったり化粧が薄かったりしても、それだけで女性らしくないとはとても思えなかった。
 
一方で、その友人はいつも母親が買ってきたかのような服ばかり着ていてお世辞にもおしゃれだとは言いがたかった。同じ部活の女性たちはそんなことは気にしないのだろうが、彼が女性だと思うような(いつもちゃんと化粧をしておしゃれをしている女性らしいキラキラ女子の)女性が、彼のような服装の人と歩くかと言われれば、多くの人は別の人を選ぶだろう。別にチェックシャツにジーンズでもいいと思うが、懸賞で当てた企業ロゴ入りのペラペラのパーカーは私もうれしくない。
おしゃれに興味ない人よりおしゃれな人のほうが、一緒に歩く人に最低限のおしゃれを望む可能性は高い。仮に相手に多くを望まないタイプの女性だったとしても、男性から好まれるようなおしゃれな人やかわいい・きれいな人は競争相手が多い可能性がある。
 
ところが話をする限り、彼はそんな可能性については考えていなかった。彼の中では、キラキラ女子だけが恋愛対象となる女性で、自分自身が女性からどう思われるかというのはすっぽり欠落していたようだった。私は当時、この人は自分を客観視できない人だと思ったが、彼は他人に迷惑をかけるようなことをしているわけでもないし、それからも友人として仲良くした。
 
私はわかっていないのは彼だけだと思っていたけれど、自分が好ましいと思う人はとても人気がある可能性や自分が他人にどう映っているか考えていないのは彼だけではないことがだんだんわかってきた。
 

以下の現代ビジネスだと容姿を重視する男性の話が載っている*2。このレベルの人々はなかなかお目にかからないけど、女性の容姿について非現実的な(芸能人レベル)要求をする人は少なくない。

gendai.ismedia.jp

gendai.ismedia.jp

 

stylo.hatenablog.com

stylo.hatenablog.com

私が見たことがある人のなかにも、バリキャリと付き合ってるのに(女性の希望に反して)結婚後は専業主婦が当たり前と思っている人や、婚活で20歳年下の女性にあたってみようと考えた人などがいて、彼らは傍から見るとちょっと難しいんじゃないかと思えるような条件でも、彼らは大真面目に実現できると考えていて、一体なんでそう思えるのかが不思議でならない。

 

相手に対して高いレベルのものを求めることは悪いことだろうか?
実のところ、私は"悪いこと"だとは思っていない。しつこい付きまといなど他人に迷惑をかけない限り、頭の中で何を考えていようが自由だと思っているからだ。結婚してもしなくてもどちらでもいいけどある一定以上のレベルの相手とだったら結婚したいと思っている人が、そのレベルの人間と出会えず結婚できないようなことが起こっても、それが本人の望みなら周りが何か言うことではないだろう。私の知り合いにも、「こうこうこういう条件の人と結婚したい。いないなら独身でいい」といっている人もいる。
 

でもみててこれはまずい(不幸だ)と思うタイプの人もいる。どういうタイプかというと、絶対に結婚したいといいつつ相手に高い条件や達成がほぼ不可能な条件を求めている人だ。つまり、問題があるのは、自身の要求がほぼ実現不可能なのにその事実にまったく気がついておらず、しかも絶対結婚したいと思っているパターンだ。もし別の条件を掲げたりできれば彼(女)らは結婚できるかもしれないが、自身が求めているものが高すぎるとわからないがためにそういう"妥協"や変更ができない。必ずしも結婚したいと思っていないならそれでいいのだが、絶対結婚したい人たちなのだから要求レベルが高すぎる/そんな相手は実在しないとわかれば、条件を変えようとも思えるはずだ。

 
年収や容姿などのスペックは特にそうだが、誰かがいいなと思う人はたいてい他の人からも人気がある。ところが、ときどきそのことを考えずに条件にしている人がいる。中には運よく相手が見つかる人もいるだろうが、そうではない人もいる。そういう人たちは、どうしてうまくいかないのか時々考え、気がついたときにはもう手遅れだったりしてしまう。

 

何でそういうことを考えてしまうかはわからないのだけれど、いずれにせよそれがわかっていない状態と言うのは本人とっては不幸なことじゃないかと思うのだ。

*1:そこは彼も認めていた

*2:この対談は結構好き