恋人に何を求めるか

ある友人のことを思い出した。
その女性は大企業の正社員で、家事能力もばっちりのしっかりものだった。彼女は付き合う相手に顔も経済力も求めておらず、彼女に専業主婦を求めたりせず仕事を続けるのに協力的で話しがある程度合えばいい、と考えていて、実際そういう人と結婚した。
 
彼女があるとき付き合った人は、最初はうまくいっていたが、次第に相手が彼女をとにかく"助け"ようとして、彼女がいやになってしまって別れた。彼はしばしば"善意"から彼女を助けようとするのだが、実際は彼女は助けを求めておらず、むしろ彼女は最初は自分でどうにかしたいタイプだった。たとえば、彼女が転職活動を始めたとき、彼女は彼にアドバイスは求めなかったにもかかわらず、彼はなぜか彼女がまったく希望していない業界や徹夜が当たり前の条件が悪い業界を進めはじめた。どう考えても条件が会わず彼女は結局その業界を受けなかったが、彼からなぜ受けないのか非難されてしまい彼女にとっては散々なことになった。このように、しばしば彼は善意で彼女を助けようとして、彼女がまったく望んでいないことをしてしまい、彼が善意でそれをしていることがわかっているがゆえに彼女は怒れない、というサイクルに陥ってしまっていた。
 
最終的に、彼は彼女が転勤のある仕事であることを非難し、わかれることとなった。彼女は「私がゲームでいつも勝っちゃうのがいやだったそうです。みじめだって。ゲーム持ってくるのはいつも自分なのにね」、とあとで教えてくれた。
 
私はこの男性のことを、馬鹿じゃないかと長年思っていた。友人はしっかり者でいい結婚相手になるだろうと思えるような人だったからだ。そんなことで別れるなんて、馬鹿だと思った。*1
 
エントリを読んで彼もそうだったのかもしれないと思った*2
 
彼が選んだ相手がおんぶに抱っこを望む人間やこのエントリの義母さんのような人ならある意味でそれでよかったのだろうと思う。実のところ、彼自身は某有名企業で働いており、専業主夫の奥さんを養える程度の年収はあった。彼自身は、彼の望みの専業主婦で家に帰ったら癒してくれる奥さんを手に入れるだけの財力はあったのだ。
 
でも、彼女はそういう人になることに価値を見出す人ではなかった。彼女は自己主張をちゃんとして、男性にまじって仕事をするような人だった。他人を踏みつけにするような人ではなかったが、彼の望むような"男をたてる"という人でもなかった。
彼女が探していたのは、古い男尊女卑的な関係ではなくて、対等なパートナーとも言えるようなものだった。それは、彼が求めていたものとはまったく違うだろう。

 

彼は、誰かが自分を頼ってくれることでしかモチベーションを維持できない人だったのかもしれない。正直言って馬鹿は馬鹿だと思うけど、頼られるのがうれしいことはわかる。もちろんそれを強要したり一方的に期待するのは間違いで、友人は彼の被害者だと思う。

しかし、彼もまた被害者なのかもしれない。頼られる人間になるのは相当大変だと思うだけど、それを仮に社会に強制されているとしたら、なかなかのプレッシャーだ

 

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*1:彼女のことを考えると大歓迎ですけど

*2:ちなみにこの男性は九州男児ではなく、首都圏の出身