誰が何に救われるかなんてわからない

欠損女子がホットになってたので、紹介します。

今ならamazonプライムに入っている人は見放題なのでお勧め。「最強のふたり」。いい映画でした。

 

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スラム街出身で無職の黒人青年ドリスと大富豪だが事故のため首から下の感覚がなく動けないフィリップの話だ。実話を元にして作られていて、今でもふたりは仲がいいのだそうだ。

 

そもそもドリスがフィリップの介護の仕事に応募したのも失業手当を得るためで、フィリップとドリスは本来ならまったく接点のないはずの人間だった。彼らは住むところも趣味も何もかもが違った。

フィリップは芸術と音楽が趣味だけど、ドリスは現代美術を見て俺でも描けそうだ思ったり、オーケストラを退屈だといってはばからない。

 

そのうえ、作中でドリスは差別団体が聞いたら真っ青になりそうなことを繰り返し、仕事も不真面目。よく首にならないよなと何度も思った。

以下ネタバレも含むので、続きを読むにします。

あるときフィリップは、友人からドリスに気をつけろ、ああいうやからは容赦がない、と忠告を受ける。

フィリップは、「そこがいい(exactement ca)。容赦がないからいいんだ」と答えた。自分の状態を忘れて電話を渡そうとしたりする、同情していない、そういうところがいいのだと。

 

ドリスはフィリップが障害者ゆえに引け目を感じてできないことをさらっとやってのけようとする。

フィリップの文通相手の女性に電話をするように促し、さらに会う約束まで取り付けてしまう。

ほかのことでも大体なんでもそんな風で、フィリップの体が動かないことなんてまったく気にかけていない。アッチ方面はどうするのかまで聞いてしまう。

 

ドリスは、フィリップのことを障碍者ではなく、普通の人と同じように扱う。

フィリップはそれに救われる。

誰が何に救われるかなんてわからない。

 

フィリップは、自分が障害者であることをまったく勘定に入れないドリスに救われた。

人はコップを自分の口元に持ってきてもらい水を飲ませてもらったときに、そのやさしさに救われることもあるだろう。普通、障害者が救われるイメージはこっちだと思う。

 

でも、誰が何に救われるかなんて本人以外にはわからない。正しい救われ方なんてものもない。そして何に救われるかも自由だ。こころは体が動かなくても自由だ。

 

ところでドリスはなんだかんだ言っていいやつだ。こういう友達がいると幸せだと思う。